その105 両利きの経営②「主体性と関係性」編
今月は、前回の『両利きの経営』の続きとなります。コロナや気候変動、そしてソミックグループの事業再編と世の中が大きく変わっていく変革期において、本当に必要とされるものは、二つの相反するものがある時に、どちらかを選択するのではなく、矛盾する二つのものを結び付ける力が大切になります。これが「両利きの経営」の基本となる考え方です。
~変革の中で必要な力~
①新たな価値を創造する力
②対立やジレンマを克服する力
③責任ある行動をとる力
~OECD エデュケーション2030~
これからの変革の波が押し寄せる2030年までに必要な教育とは、3つの力であると述べています。
この②が『両利きの経営』のベースです。
「主体性」
【意味】
主体性とは他人の意見や行動に左右されることなく、自分の思いや考えに基づき行動すること。
主体性を身に着けることで、人は成長し、この主体性が自立へとつながります。
この主体性は、変革期にて最も大切な特性の一つです。
「関係性」
【意味】
社会や組織、集団での人と人との関係、人のつながりのこと。
人の関係性には、親子、家族と言ったものから、友人、先輩、後輩などさまざまな種類があります。
また、その深さも認知、理解、共感、信頼とさまざまです。
「主体性」は個人を基本としたものであり、関係性は集団が基本となります。いずれも大切な特性ですが、主体性が強すぎると個人として孤立が生まれ、時に対立を招きます。また、関係性が強すぎる場合は、時には依存がうまれ、個人としての考えや行動がなくなり、従属する関係を生みます。主体性を発揮したうえで、関係性を構築する、すなわち主体的に関係性を作っていくことが、個人と組織の自己実現を同時に可能とさせます。
<今月の言葉>
「君子和而不同、小人同而不和」 「論語」 孔子
君子は、和して同せず、小人は、同して和せず
【訳】
君子は、人と協調し良き関係性を築くが、主体性を失わず、無暗に同調はしない。
小人は、同調はするが、自分の考えや思いを持たないため、心から親しくなることはない。