夢への扉

その78「改善と改革」編

 新しい年を迎え既に1ヶ月半経ちますが、新年の挨拶で話をした「改善と改革」について、もう少し詳しく説明したいと思います。今年はこの2つの言葉の考え方を軸に進めていきますので、皆さんにもこの言葉の意味を知ってほしいと思います。
 
改善>
 「改善」は、「改めて、善くする」と書きます。「物事を変えて、今よりも善くしていく」ということです。改善という言葉自体はトヨタ生産方式に多く出てくる言葉で、「現場にあるムダを見付けてムダをなくし、日々現場を変えていくこと」です。現場のムダには、不良のムダ、在庫のムダから造りすぎのムダと、さまざまなムダがあります。それでは皆さん「ムダ」とは一体何だと思いますか?ムダとは「価値を生まないもの」です。私は現場を見る時、①止まっているもの、②形を変えないもの、を見ています。生産現場では、川が流れるように、製品や人が、よどみなく、立ち止まることなく、形を変えて流れている状態が最も効率的な状態です。例えば、現場で作業している人が何かで立ち止まっている、またいつまでも置いてある在庫など、停滞しているところには必ず問題があります。また製品を見た時、動いているものであっても形を変えていないものにはムダがあります。製品を動かすだけ、検査するだけ、などなど。毎日現場を歩いてみるとムダがだんだんと見えてきます。改善はムダを見付けるところから始まります。皆さんも現場に出てムダを探してください。これが改善の第一歩です。
 
改革>
 「改革」とは、「改めて、革める」と書き、「徹底的に変える」という意味です。極端に言うと“結果はどうであれ変えてしまう”ということなのかもしれません。日々の中でなかなかできないようなことであっても、まずは変えてみる、失敗してもいいので大きく変えてみることが改革です。ソミックでいうと例えば、製品企画活動を通して、新しいカタチのボールジョイントを開発・設計し、それを新しい工法を用いて製品化していくこと。このものづくりの改革により、製品が変わり、現場が変わり、工場が変わっていきます。すなわち、製品企画活動を行い、工場再編を行うことがソミックにおける改革です。他にも、働き方改革など、Iotなど用いながら今現在の働き方を大幅に変えてしまうことも改革なのだと思います。改革を実行していくためには、1つの職場・1つの現場で行うことは難しく、部署を超えたTeam になることが大きなカギになります。また改革を進めていくと必ず大きな問題にぶち当たります。何日も悩み、何とかしなければと常に頭にこびりついている、そしていても立ってもいられないのでなんかやってみる…すると突然何かがひらめいて、ふと突破口がひらける。これが改革というものだと思います。
 
<まとめ>
 今、自動車業界のみならず、あらゆる業界が大きく変化しています。今まで良いと思ったことが、それでは通用しなくなる、新しいものを生み出したものが古いものを駆逐していく、そういう時代に入ったのだと思います。クルマも自動運転や電気自動車へと変わり、自動車をMobility(移動するもの)と呼ぶ時代です。ソミックも新しいモノを生み出していかなければなりません。新しい製品や工法、新しい現場や工場、そして新しい会社をつくっていく、これが改革を行うということです。しかし改革は一足飛びにはできないことも知っておかなければなりません。日頃現場に出て、ムダを探し改善を行う、この改善により問題を解決する力がついていきます。そして改善を積み重ねることこそが、ソミックの足腰を鍛え、改革へとつながっていくのです。今のソミックに必要なことは、日々現場の改善を行い、改善の力を強くすると共に、挑戦する覚悟を持って改革を断行していく、「改善と改革」の両方です。