その79「G型自動織機・根角ボルト・テンプル」編
昨年末、さまざまな人のつながりから、天竜区にある和田織布さんという織物屋(2018年廃業)から、G型自動織機の流れをくむG3型自動織機2台を譲り受けました。G型自動織機は、豊田佐吉翁が1924年に発明した織機ですが、この織機こそがトヨタ生産方式の「自働化」の原点です。またこの織機には、昔ソミックが造っていた「根角ボルト」と、アスキーが今でも造っている「テンプル」という部品が使われています。今月は、このG型自動織機・根角ボルト・テンプルについて話をします。
「G型自動織機」→トヨタ自動車
豊田佐吉翁の発明した
G型自動織機には24個の「自働化」の考えが入っています。「自働化」とは、機械に善し悪しを判断させる装置を取り付けたものです。「自動」とは自動で動くだけのものですが、それに加え「異常があれば止まる」という考え方をつけ加えることで、現場監督者は不良や停止を気にせず、機械にへばりつく必要もなくなりました。自動化により、機械を管理・監督する作業者の動きを「単なる動き」から、ニンベンの付いた「働き」にしました。これが「自働化」です。
G型自動織機には24個の「自働化」の考えが入っています。「自働化」とは、機械に善し悪しを判断させる装置を取り付けたものです。「自動」とは自動で動くだけのものですが、それに加え「異常があれば止まる」という考え方をつけ加えることで、現場監督者は不良や停止を気にせず、機械にへばりつく必要もなくなりました。自動化により、機械を管理・監督する作業者の動きを「単なる動き」から、ニンベンの付いた「働き」にしました。これが「自働化」です。
「根角ボルト」→ソミック石川
これは、ソミックの創業者である石川菊三郎が造ったボルトです。ボルトの根本が四角になっており、ボルトを通すフレームの穴形状も四角にすることで、ボルトとナットが共回りすることがなくなり、ボルトが片手で締められるようになりました。このボルトは、単にボルトだけを開発したのではなく、織機の設計者と鋳物のフレームを造る人たちとが知恵を絞った末に出来上がった製品だと思います。
「テンプル」→アスキー
テンプルとは、糸切れや摩耗を防ぐため、緯糸を織り込む際に縮んだ布を外側に引っ張る部品です。テンプルは、アスキーが65年もの間今も造り続けており、譲り受けたG3型自動織機にもしっかりとついていました。お客様の布に穴や傷をつけないようにと、お客様と相談しながら織物に合ったテンプルを提案・製造しています。今では、布に穴を開けないようにと考えられたゴム製のテンプルも開発されています。
豊田佐吉翁が発明したG型自動織機は、先人たちのさまざまな工夫の一つひとつを、トヨタ生産方式の教材として使っています。今回、ソミックでこのG3型自動織機を譲り受けようと思った理由はそれだけではありません。この織機に使われている私たちの部品(根角ボルト)もさまざまな工夫があり、これをソミックやアスキーの社員さんたちにも残していくべきだと考えたからです。和田織布さんで実際に動いていた織機は、ものすごい振動と音をたてて布を織っていました。その振動の中で使われる部品は、みんな無骨な形をしていましたが、決してそれだけではなく、造る人の作業性やお客様の品質を考えて造られていた部品でした。良い品質の鋼材がない時代に、織機の設計からフレームの穴形状も考えることで根角ボルトを造り出すことで、他のボルトとの差別化を図った石川菊三郎、その昔、テンプルの調整に和田織布さんへ自ら足を運んでいたアスキーの故・石川明男前社長、そういった先人たちの教えを私たちも引き継ぎ、実践していかなければなりません。ソミックで働く者として、決して軽んじていい歴史ではないと思っています。また、これらの部品はソミック・アスキーの原点であるとともに、このG3型自動織機はトヨタとソミック・アスキーの「人のつながり」を表す大切な証だと思っています。